通常の学級における、多様な子供たち一人一人に応じた一斉授業の指導方法の工夫 ~若手教員が知識・技能として身に付けるべき「確認」の教育技術についての研究~
令和4年度に文部科学省が実施した「通常の学級に在籍する障害のある児童生徒への支援の在り方に関する調査」によると、学習面または行動面で著しい困難を示すとされた児童生徒数の割合が、小中学校においては推定値 8.8%というデータが出された。
また、これらの児童生徒のうち、校内委員会において特別な教育的支援が必要と判断されている割合は、小中学校で推定値 28.7%であった。
この結果を受けて、文部科学省が「通常の学級に在籍する障害のある児童生徒への支援の在り方に関する検討会議報告(令和5年3月13日)」を出した。
その中で、特別支援教育に関する校内支援体制の充実として、全ての教師が、障害のある生徒児童を含め多様な児童生徒が通常の学級に在籍していることを前提として、全ての児童生徒に対し、高い学習成果が得られるよう分かりやすい授業づくりを進め、通常の学級において安全・安心に学ぶことができるよう、多様性を尊重した学級経営が求められるとしている。
そのためには、まず通常の学級において、学級全体に対して分かりやすい授業の工夫を行うことが重要である。学習指導要領の解説「指導計画の作成と内容の取扱い」に示されている「困難さ」に対する「指導上の工夫と意図」と「手立て」を参考に、通常の学級における授業づくりの工夫改善に努めていかなければならない。そのうえで、ICT を含む合理的配慮の提供、特別支援教育員の配置などにより十分に学べるかどうかを検討することが大切である。つまり、通常の学級に在籍する障害のある児童生徒への支援の基本は「学級全体に対しての分かりやすい授業」となる。
「学級全体に対しての分かりやすい授業」を進める上での技術を獲得するために、本研究団体では、継続的教授法創造研究所代表の椿原正和氏を講師として招聘している。椿原正和氏は多様な子供たち一人一人に応じた一斉授業を進めていく上での基本的な教育技術を5つ挙げられている。その第一の教育技術として「確認」を挙げている。「確認」の技術について、昨年度の研究授業の講演でも次のように述べられた。
「教師は指示をしたら、子供は開いているものだと思っている。」
このように、現場の教師の「確認」の意識の低さについて言及された。さらに、次のようにも述べられた。
「確認が曖昧だと、子供は教師の話を次第に聞かなくなる。」
つまり、「確認」の技術は学級の「安定」をもたらすものでもあると示唆された。
これらのことを踏まえて、本年度の研究主題を「通常の学級における、多様な子供たち一人一人に応じた一斉授業の指導方法の工夫 〜若手教員が知識・技能として身に付けるべき「確認」の教育技術についての研究〜」とする。